建築設計:n.r.a.l.
プロデュース:NEWVILLAGE & PROJECTS
施工:コネクトライフ
福岡市博多区御供所町5-26 TOハイツ2
https://hotel-ukune.com/
熟睡する町ホテル
「浮くように眠る」という体験を込め「UKUNE」と名付けた、客室わずか3室の小さなホテルである。
計画地は、博多駅と博多港を結ぶ大博通り沿い、寺町として鎌倉時代から歴史を重ねてきた御供所町に位置する共同住宅の一部である。ホテル前の「奥の堂通り」は、日本最初の禅寺であり国指定史跡である聖福寺の勅使門へと続く石畳の道である。
普段は静謐なこの通りも、博多祇園山笠の期間には祭りの舞台へと姿を変える。ホテルからわずか10m先の御供所通りでは舁き山が勢いよく駆け抜け、狭い街路を豪快に舁き回る山笠を間近に感じることができる。
静けさと熱気という、この町が持つ二つの時間が日常の中で共存している。
本計画は、昭和期に建てられた6階建て共同住宅の一部を宿泊施設へと再生したものである。
限られた面積の中で合理的に計画された既存空間を尊重し、その価値を現代の滞在体験へと読み替えることを目指した。
設計の起点としたのは、聖福寺をはじめ寺社が集積する地域性から導いた禅の思想「無為自然」である。装飾を排し、既存建物が持つ光庭からもたらされる光、風の流れを素直に受け止めることで、都市にありながら心身を静かに解放する空間を構成した。
客室では間仕切りを最小限にとどめたワンルームとし、睡眠の場を蚊帳によって緩やかに領域化することで、「眠る」という行為そのものを滞在の主役へと昇華させている。
歴史を保存するのではなく、歴史の中で新たな営みを育てること。
都市に残る小さな共同住宅が、その町だからこそ生まれる新たな滞在の場となることを目指した。





















